やさしい線をなぞっても、

やさしい線にはならなくて

佇んでいる景色が無の音を立てて

静かな変形、忙しく形を変える

それは地獄だったかもしれない

 

指を遮った影がなんなのか、

そこから目を逸らして、いる

 

無味無臭、無色透明

溶けていく

言葉の濁流に襲われて

音の洪水に晒されて

街の喧騒に詰められて・・

でもあの街には、たしかにきみがいる

 

滑らかな衝動をかき消して

空を隠す暗闇に、明けそうな夜に

光る、電光掲示

眩んだ視界を統べるべき残像

 

祈る

 

プシューケーに映った夢